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天馬株式会社(7958)

開催日:2024年3月16日(土)

説明者:代表取締役社長  廣野 裕彦 氏

 

1.天馬について

・ 当社は1949年に設立し、75年目を迎えています。当初は日用品雑貨等の製造販売を行っていましたが、早くから欧米のプラスチック業界の発展に着目し、プラスチック製品の製造販売に事業の軸足を移しました。東京都荒川区で事業をスタートしましたが、現在は東京都北区赤羽に本社を構えています。2023年3月末時点で資本金は192億円、従業員数は連結で約8,400名、単体で約640名です。売上高は連結で1,021億円、単体で200億円です。東京証券取引所プライム市場に属しています。

・ 当社の社是である「信・望・愛」は創業者の精神であり、「人が人らしく生きるために」という考えに由来するものです。当社は戦後の日本で国民が復興に向け歩み出して間もない1949年に日本での事業を夢見て、韓国から日本に渡ってきた創業者により設立されました。物資不足で多くの国民の生活が苦しかった時代、人々の生活をより良くし、本質的な豊かさに寄与する物づくりに励むことが復興への貢献の1つだと考えました。

・ その後、創業者の1人が初めて渡米した際に、飛行機の中で出された樹脂製のコップを見て、軽量性と耐久性の両方を持ち合わせた樹脂の利便性が日本の新しい生活様式に貢献できることを直感し、当社において樹脂成形を行うことになりました。そして、日本が復興から経済成長に向かうなかで樹脂の利便性が受け入れられ、それまでブリキなどで作られていた多くの生活用品が樹脂製品に置き換わる時代を背景に、当社もまた樹脂に特化した日用品メーカーとして成長しました。

・ 当社は、1953年10月にプラスチック製品の射出成形技術の本格的な研究開発を開始しました。1986年10月に、生活にフィットする収納用品として「フィッツケース」が誕生しました。1987年4月に現在の天馬株式会社に商号を変更しています。1991年4月に東京証券取引所市場第二部から第一部に上場しています。1992年12月に中国・中山に工場を設立し、中国展開を開始しました。2007年11月にベトナム工場を設立し、東南アジア展開を開始しました。そして、2023年4月のインドネシアの金型工場に続き、同年5月にはメキシコの工場を取得し、北米展開を開始しています。

・ 国内外ネットワークについてです。生産拠点は国内に6工場、海外5ヵ国12工場の合計18工場です。全グループ合計で1,000台以上の成形機を保有しています。中国・東南アジアには1ヵ国に2工場以上を保有し、生産体制の整備に努めており、またさらなる成長が見込まれるベトナムにおいて、現在同国4番目となる新工場の建設計画を進めています。

・ 当社グループの特徴は、収納ケース等の日用品を主体とする自社製品事業(ハウスウエア)とOA機器や家電機器、車両等の部品を主体とする受託製品事業の両方を併せ持つプラスチック成形加工メーカーであることです。どちらか一方に特化した会社は数多くありますが、自社製品と受託製品の両方で強固な営業基盤を確立している会社はあまりなく、当社の大きな特徴でもあります。自社製品事業では、収納ケースのカテゴリーで国内トップシェアを誇るコンシューマーブランド企業であり、受託製品事業ではアジアの成長市場においてグローバル企業を主な顧客としています。

・ 当社グループの強みを3つにまとめました。1つ目は自社製品事業と受託製品事業です。自社製品で培った開発力と受託製品で磨いた技術で高付加価値を提供しています。2つ目は世界中に届ける高品質です。国内外を問わず統一された技術基準のもと、高品質の製品を製造しています。3つ目はグローバルネットワークです。国内6工場に加え、海外5ヵ国12工場の信頼度の高いサプライチェーンを土台にグローバル事業を推進しています。昨年までのコロナ禍では、各地域において取引先の生産状況が変化するなか、製品供給を途絶えさせず生産を継続させることができ、取引先からも大きな信頼を得ることができました。

・ 当社が取り扱う製品を説明します。収納用品のラインナップには、定番の「フィッツシリーズ」をはじめ、機能性や耐久性など実用性に加え、インテリア性を兼ね備えた製品、またアレンジを楽しめる製品など様々な生活シーンに役立つ製品を取り揃えており、自社製品は日本および中国、インドネシアで製造しています。今後は他のASEAN地域や北米での生産を検討しています。

・ 他にはバスケットや物干し等の洗濯用品、水切り籠などのキッチン用品、キッチンや洗面所等で使用できるスリムワゴン、ストッカー、機能性だけでなく見た目にもこだわったお弁当箱やマグボトルといった収納用品以外の様々な商品も取り揃えており、今後も商品ラインナップの拡充に努めてまいります。

・ 2023年に国内で開催された「JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2023」、「96回東京インターナショナルギフトショー秋 2023」、「第17回国際ガーデン&アウトドアEXPO」等の展示会出展を通じて、当社および自社製品のPRを積極的に行っています。

・ また昨年来、アメリカ、インドネシア、ドイツで開催された展示会にも出展しています。2023年3月に初めてアメリカの展示会、今年はドイツでの展示会に初出展しました。そして、アメリカでは今年もシカゴで開催される展示会に出展します。いずれも業務提携先のJEJアステージ株式会社との共同出展です。今後もグローバルな展開を目指してまいります。

・ 受託製品事業では、オフィス用プリンターの給紙ユニット等のOA機器部品、エアコン、洗濯機、掃除機等の家電機器部品を製造しています。OA機器部品は日本、中国および東南アジア3カ国で製造し、家電機器部品は主にタイ、ベトナムで製造しています。

・ 4輪車のバンパーやホイールキャップ、2輪車のシートボックスなど、車両部品も多く取り扱っています。車両部品は主に日本およびベトナム、インドネシアで製造しています。日本とインドネシアでは付加価値向上のため、車両事業専用の塗装設備も備えています。また、新たに天馬グループ入りした北米の子会社では、エアバッグやシートベルトなどの安全部品も製造しています。

・ トイレ関連の製品といった住設部品、ゲームやDVD等を入れるメディアケース、ビールピッチャーを含む産業用資材など多岐にわたる分野の製品に加え、新たに天馬グループ入りしたインドネシアの子会社において主に車両関連の金型を制作しています。

・ 地域別売上構成では日本、中国、タイ、ベトナムがおおよそ20〜25%前後、インドネシアが6%を占めており、約8割が海外での売上です。2024年3月期からはわずかですが、北米の売上が加わります。部門別では、自社製品事業のハウスウエアが16%、受託製品事業のOA関連が58%、家電と車両が10%前後となり、受託製品事業で8割以上を占めています。天馬をご存知の方のなかには、国内の収納用品をイメージされる方も多いと思いますが、海外での受託製品事業をテコに成長を進めてきたグローバル企業です。

・ 直近10年間の売上高および営業利益の推移についてです。売上高は2023年3月期にコロナ禍での落ち込みの反動増や円安の恩恵等もあり、当社グループとして初めて1,000億円の大台を突破しましたが、それ以外は概ね800億円内外で推移をしています。一方、利益面は原材料価格の変動や自社製品事業における新製品発売等の有無により左右される面はありますが、ここ数年、売上高営業利益率は3%内外で推移しています。収益性の改善が当社グループの喫緊の課題です。

 

2.業績予想

・ 2024年3月期業績予想は、売上高940億円、営業利益12億円、経常利益38億円、親会社株主に帰属する当期純利益は29億円です(2023年11月9日修正発表)。修正前と比較すると、売上高でマイナス30億円、営業利益でマイナス20億円、経常利益は変動なし、親会社株主に帰属する当期純利益でマイナス 2億円です。

・ 売上高は、受託製品事業で下期からの受注環境改善を見込んでいましたが、多くの取引先で生産調整が見られるうえ、自社製品事業も消費財における消費活動が活性化しておらず、下方修正しました。利益面は、減収に伴う成形機の稼働率悪化等により営業利益予想を下方修正しました。

・ 経常利益は、純投資目的の有価証券売却益を営業外収益に計上することもあり、当初予想並みを確保する見込みです。

・部門別では、受託製品事業のなかでもOA・家電は総じて取引先の生産調整の影響が大きいものの、車両のうち4輪車は復調しています。ハウスウエアは価格改定効果に加え、商品ラインアップの増加にも取り組み、売上額は前期対比で微減に留まる見通しです。

・ 地域別では4輪車を取り扱うインドネシア・日本は前期対比で増収見込みです。一方、中国は取引先における東南アジアへの生産シフトなどもあり、前期対比で大幅な減収を見込んでいます。

3.中期経営計画について

・ 今年度で最終年度を迎える第3次中期経営計画の全体像についてです。当社は2049年に創業100周年を迎えますが、「百年企業」への道を歩むために目指す姿を定めました。目指す姿には数値目標以外に長期ビジョンとして「人とプラスチックの調和した豊かな社会の実現」を掲げています。

・ 第3次中期経営計画の骨子ですが、「人とプラスチックの調和した豊かな社会の実現」のもと、2つの基本方針を掲げています。基本方針1は「サステナブル経営の推進」、基本方針2は「成長基盤の構築」です。この2つの基本方針の実現のために6つの具体的な戦略を掲げています。

・ 戦略ごとの取り組み事例を説明します。戦略@「人財への取り組み」では、30年以上変更していなかった人事制度を刷新し、目標管理制度を導入するなど、各自の努力が適切に評価される仕組みに変更しました。また、非正規社員の正社員登用制度の確立や休暇制度の拡充など、安心して働きやすい職場環境の確立に努めました。戦略Aの「環境問題への取り組み」では、サステナブル経営の確立に向け、基本方針等の策定やマテリアリティの特定、GHG排出量削減目標の設定などを行いました。詳細は当社ホームページに掲載しています。また、複数の再生材混合製品の販売を開始しました。戦略B「ガバナンス強化」では、外部機関を活用した内部通報制度や監査機能の強化を図りました。また、独立社外取締役比率3分の1以上の維持による経営の透明性を確保し、さらには海外子会社でサプライヤーミーティングを開催し、調達活動における取引先とのパートナーシップ強化などに取り組みました。

・ 戦略C「DXと自動化の推進」では、タイでの自動倉庫導入やロボット活用による組立工程等の自動化を図るとともに、インドネシア、タイで自社製品のEC販売を開始しました。戦略D「技術開発の推進」では、ダイ・スライド・インジェクション成形(DSI成形)等の特殊成形技術の実用化につなげました。また、加飾成形機を導入し、自社製品の高付加価値化を図るとともに、複数の環境配慮素材の研究も進めています。戦略E「ビジネス領域の拡張」では、北米の自動車部品等製造販売会社のM&Aを通じて車両事業の拡張を図りました。そして、インドネシアの金型事業者のM&Aを通じ、金型事業を展開させています。さらにマグボトルやランチボックスなど、自社製品事業の領域拡大や、男性用妊活キット等の社会課題解決型商材の代理店販売も開始しました。加えてアメリカやドイツ等で自社製品の海外展示会への積極出展を行い、グローバルベースでの自社製品の販路拡大に向けた足がかりを築きました。

・ 第3次中期経営計画の残された課題についてです。まず、収益力強化の側面からは、国内外でハウスウエア事業の深化、受託製品事業におけるOAに続く事業分野の拡張、M&Aのシナジー極大化、将来を見据えた新事業・新領域の開拓が挙げられます。最終年度の2024年3月期のROE目標4.6%に対し、 4.0%程度で着地見込みであり、達成状況から見ても収益性が課題であると認識しています。

・ 企業認知度向上の側面からは、PR活動の充実などが挙げられます。また、更なる環境問題への対応を行う側面からは、社内リサイクル施設の新設、環境配慮製品のより一層の開発・販売の強化等が挙げられます。これまで申し上げたことも含めて、2024年4月から5月頃に公表予定の第4次中期経営計画の実行を通じ、企業価値の向上に努め、経営課題として認識しているPBR1倍割れの解消を目指してまいります。

 

4.株主還元策

・ 配当政策はDOE(連結株主資本配当率) 2.5%以上を目標として安定した配当を継続することを基本方針としています。2024年3月期には、前期に引き続き1株当たり配当額を通期で82円とする方針です。DOEは2.6%になる見込みです。

・ 株主還元策として安定配当に加え自己株式取得も実施しており、2024年3月期の総還元性向は約130%になる見込みです。なお、自己株式取得の長期目標100億円に対しては、直近4期合計で約74億円を取得しています。

・ 株式優待は、毎年3月31日現在の当社株主名簿に記載された100株以上ご所有の株主様に一律で1,000円相当の当社オリジナルクオカードを進呈させていただいています。なお、今年度は6月上旬頃の贈呈を予定しています。

・ 配当シミュレーションは、年間配当金82円を前提に配当利回りは2024年3月13日終値ベースで3.57%になります。なお、株式数100株の場合、投資金額は229,600円、年間配当金は8,200円です。

 

5.質疑応答

Q1. 天馬という社名の由来を教えてください。

A1. 当社の「天馬」という社名については、質問をよくいただきます。これは中国の漢の時代に遡りますが、天下無双の名馬が天馬と名づけられていまして、当社もこの名馬に社業発展の夢と浪漫を託して、天馬という社名にいたしました。

 

Q2. 本日はいろいろご説明いただきましたが、廣野社長が今後最も期待している国や事業、分野、製品サービスはどれですか。理由も併せて教えてください。

A2. 当社が今後最も期待している国は、第4工場の建設を計画しているベトナムです。次にタイを重要と考えています。特にその2ヵ国へ受託製品の様々な引き合いがきており、事業も増えると考えています。事業では受託製品事業が売上構成比の約8割となっており、当面はここが中心になると思います。受託製品事業のなかでもOA・家電・車両、あとは住設建材がメインです。特にOA関連の比率が高く、車両関係についてもEV化などが出てくると思います。プラスチックに代替される素材も増えると思いますので、車両にも注力したいと考えています。当社は家電製品ではエアコン関連を製造していますが、インドなどの引き合いはこれから増えると思いますので、注力したいと考えています。国内では当社の自社製品であるハウスウエア事業がメインです。「フィッツケース」のような収納ケース、またインテリア製品は国内トップシェアです。直近は売上が苦戦していますが、商品開発にも注力して、国内事業も特にハウスウエア事業に注力したいと考えています。

 

Q3. 廣野社長が意識していて、上場している競合企業を教えてください。また、そちらの企業と比べて御社はどのような強みがあるのでしょうか。そして、課題はありますか。

A3. 当社の競合企業ですが、プラスチックの成形を行う会社が上場、非上場にかかわらず競合となります。競合企業との違いや強みとして、当社が自社製品事業と受託製品事業の2つの事業を営んでいる点が挙げられます。ゼロから商品開発を行う自社製品事業と、依頼を受けてその通りに品質を強化して作る受託製品事業の2つを持つところが当社の強みだと考えています。特にASEANや東南アジア地域、国内を含めて18工場ありますので、いろいろな地域から商品供給できることも当社の強みです。そして一番はお客様に提供する商品の品質です。ここは創業以来、常にこだわっていて品質管理、メンテナンスを含めて強みであると考えています。

 

Q4. 今後の成長を図るうえで、これからもM&Aや資本提携、事業提携は選択肢ですか。なお、M&Aを行う場合ですが、相手先を選ぶ際のポイントはどういった点になりますでしょうか。

A4. 現在、第4次中期経営計画を策定しているなかでも、これから当社が企業を成長させていくうえでM&Aは積極的に行うべき施策の1つだと考えています。ただ、むやみやたらにM&Aを進めるわけではありません。2023年、日用品の同業他社であるJEJアステージとの業務提携を行いましたが、その際にも同社と様々な話をしました。M&Aや業務提携をする場合、お互いの会社にとってシナジー効果がしっかりと出せるところ、そこが一番のポイントだと考えています。当面は受託製品を含めて自社製品もそうですが、当社はプラスチックの成形業が主な仕事内容なので、ここに関連するM&Aや業務提携を行いたいと考えています。

 

Q5. 資料に100%再生材製品の写真がありましたが、売れ行きや評判はどうですか。また、すべての商品を100%再生材に変更するのは今すぐには難しいのでしょうか。それは製造コストがかなり高いからでしょうか。

A5. 当社の自社製品事業は、現在100%石油由来の原料がメインであり、第3次中期経営計画を策定する時から再生材、バイオマス原料を使った製品研究開発を行っています。2023年、100%再生材の商品を発売しましたが、従来の製品と比較するとそれほど売れていないのが実情です。再生材もそうですが、米を使ったバイオマス原料や紙などのバイオマス原料が今出ています。これを作って製品化すると、小売店で並ぶ時に従来のものと比較して2倍、3倍の単価になります。小売店からも環境に配慮した商品の引き合いは非常にきていますが、実際に店頭に置いてもすぐに売れる状況ではないのが実態です。この先、ヨーロッパの日用品における市場環境では、2025年もしくは2026年には必ず再生材を30%入れないといけない、2030年には100%にしないといけないという流れとなっており、日本にもいずれそうした時がくると思います。その時に対応できるように今のうちから準備が必要なこともあり、研究を進めています。現在の再生材はバイオマス原料ほど高くないですが、今、様々な企業で再生材を使った商品化が行われています。日本ではその再生材を入手するのが、非常に困難な状況になっています。ここについて原料メーカーとも話をしながら、再生材を使って環境に優しい商品作りを行っていくことは、企業の使命としてやるべきことだと考えています。引き続き研究を行うことと、メーカーとして情報発信をしてそのような商品にシフトしていくことを考えたいと思っています。

 

Q6. 地域別の売上を見ると、中国が4分の1を占めています。最近の中国の動向を見るとリスクが高いと感じますが、いかがですか。中国についてどのような見通しを持っており、どのような付き合い方をしていくつもりなのか知りたいです。

A6. 中国においては様々な報道が出ており、チャイナリスクもありますが、1995年から日用品の事業、販売をして数字もかなり出ています。ただ、直近コロナ明けの上海ロックダウンあたりから中国市場は厳しくなっており、中国で物が売れなくなっていることは肌で感じていますが、日用品の市場は魅力ある市場でもあります。日用品事業における当社の課題としては、現地で生産販売しながらも、まだやりきれてない部分がありますので、しっかりと売上を作っていきたいと考えています。受託製品事業では、一部得意先によっては中国リスクを懸念して東南アジアへシフトしている実情もあります。中国に関してはこの先、受託事業は落ちていくのではないかと考えています。中国の当社の得意先はほぼ日系企業がメインで取引をしていますが、様々な部分で新規開拓等を行っていくなかにあっては、中国企業でも受託製品、樹脂成形の受託事業を行う仕事はたくさんあると思います。積極的投資は難しいかもしれませんが、今抱えている3つの工場を稼働させるために、様々な新規活動を行いたいと思っています。

 

Q7. 中国以外の第三国、例えばインドへの進出は考えていないのでしょうか。仮に考えていない場合ですが、ネックになることが何かあるのでしょうか。

A7. 当社は今、ベトナム、タイ、インドネシア、中国、あとはメキシコに工場があります。海外進出する際、基本的には受託製品事業の取引先と一緒に出ていくパターンが多いです。新しい地域への進出についても、自社製品事業で工場を作って進出するのはハードルが高いと考えています。もし、他の地域に進出するのであれば、インドはこれから人口も世界で一番多くなるであろうことと、暑い国ですから当社が取り扱っているエアコン関連の市場は増えてくると思います。ただ、当社が突然、進出先に工場を作って事業を展開するまでには至らないと思います。取引先を含めて、お話があれば検討はしていきたいと考えています。

 

Q8. 人材の育成についてですが、まずは優秀な人材の採用確保が第一歩だと思います。そこはできているのでしょうか。また、女性管理職の比率はどうなっていますか。

A8. 優秀な人材の採用確保は大きな経営課題の1つだと考えています。それについても積極的に行いますが、当社が会社としてやるべきことは従業員の教育であり、育成に力を入れようと考えています。当社は海外比率が高く従業員数も圧倒的に海外のほうが多いため、現地社員の育成にも力を入れたいと考えています。歴史の長い海外拠点では、現地の幹部社員で20年以上働いている方も各拠点にたくさんおり、その層については安定していると思います。ただ、それ以外、日本で言えば主任、係長クラスの人材育成を海外でもしっかり行う必要があると考えています。コロナで中断していましたが、今年から海外拠点から日本へ呼ぶ海外研修制度を再開しました。今年も1月より海外から15名ほど研修生を呼び、3年間研修を行い、海外の拠点に戻って戦力になっていただく活動を行っています。女性管理職比率は、特に国内では当社の大きな経営課題だと認識しています。現在、国内での女性管理職は2名で、比率は数%の状況です。ただし、海外では約30%の女性管理職比率となっていますので、今は国内の女性管理職比率を上げることに注力したいと考えています。

 

Q9. 配当に関してですが、御社は配当性向ではなく、DOEというもので目標水準を設定しているとのことですが、その理由をもう少しくわしく教えていただけますか。

A9. 配当性向に関しては、昨今、東京証券取引所からも様々な資本政策に関連した施策が出ています。当社は、実は4年ほど前から配当政策、株主還元政策を明確に打ち出しており、その時からDOE2.5%以上を目標として配当を継続する方針を発表しています。とにかく安定した配当をしていくことが重要だと考えており、配当性向ではなく、あくまでもDOEを目安にして安定配当を行っていくことを、当社としては配当政策として考えています。

 

Q10. 社員のモチベーションを上げるために、どのような施策を行っていますか。

A10. 第3次中期経営計画を作る際、モチベーションが上がりワクワクして働きやすい、働きがいのある会社にするため全従業員から意見をいただいて策定しました。この3年間において一番の成果は人財戦略のなかにあります。2023年4月に導入した人事評価制度は年功序列型ではなく頑張った人、一生懸命仕事をしている人の評価を行い、モチベーションを上げるために導入した制度です。ただ、30年間この評価制度への変更はなかったため、実際に導入してスムーズに機能しているかというと、改善の必要な課題があることも事実です。現在、従業員と会社が一体となり、皆が同じ方向を向いて一致団結して働くためにパーパス策定を進めています。本年4月、5月ぐらいにはホームページでパーパスを含めて開示、掲載させていただければと思っています。

 

Q11. 廣野社長は、PBR1倍割れとなっている現在の株価水準についてどう思われますか。また出来高が多いほうではなく買いづらいです。そのあたりの対策もお考えですか。

A11. PBR1倍割れについて、経営課題として非常に大きな問題であることは認識しています。個人投資家様向けの会社説明会も昨年からそうした意味でスタートして、株主様も少しずつですが増えています。当社ができる企業のアピールもまだまだできることがあると思います。当社としては企業収益を上げて魅力ある会社にすること、認知度を上げることがPBR 1倍割れの対策として取り組むべきことだと認識しています。

 

以上

 

 

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