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アイホン株式会社(6718)

開催日:2024年3月7日(木)

説明者:代表取締役社長  鈴木 富雄 氏

 

1. 会社概要

・ 当社は本社を名古屋市に置き、東証プライムと名証プレミアに上場。インターホンとナースコールの専業メーカーです。

・ 当社グループは世界70ヵ国以上にインターホンを中心とした商品やサービスを展開。国内の営業拠点は東京や大阪などの9つの支店、開発拠点は開発センター、生産拠点となるマザー工場が本社と同じ愛知県内にあります。一方、海外では、アメリカ・フランス・シンガポール・オーストラリア・イギリスの5ヵ国に販売子会社があり、タイとベトナムに生産子会社を構えています。その他、非連結子会社として国内に生産子会社が1社、直近2年の間に買収したソフトウェアの開発子会社が2社あります。

・ 当社の経営理念は、「自分の仕事に責任を持て 他人に迷惑をかけるな」。我々の合言葉です。社会人・産業人としてのあるべき人間像を示し、これを鏡として、一人ひとりが自らを律していこうとするものです。

このような経営理念が生まれた背景は、創業から間もない頃、不具合品を大量に市場に流出した苦い経験があるからです。迷惑をおかけしたお客様に対し、最後の最後まで責任を持って対応する。その時の精神を引き継いだ、まさに我々の合言葉であり、全ての従業員の価値観の戻りところとなっています。

・ 経営理念を元にした経営ビジョンは「コミュニケーションとセキュリティの技術で社会に貢献する」「顧客感動品質を創造し、世界中の人々に安心・安全・快適を提供し続ける」です。インターホンとナースコールを中心としたコミュニケーション機器のスペシャリティメーカーとして、我々の存在意義を表したものであり、パーパスとも言えます。当社が目指す大きな方向性を、すべての社員がしっかりと共有するための道しるべとして、事業活動に努めています。

・ 当社の事業領域について。当社は主力商品であるインターホンとナースコールを中心に、戸建住宅・集合住宅・ケア・業務の4つの主要市場で事業展開しています。

・ 2023年3月期の国内市場・海外市場の売上構成比は7:3。中長期的な市場性を見据え、集合住宅のリニューアルと海外での売上拡大を推進し、国内外の売上バランスを意識した経営を進めています。

・ 当社のビジネスモデルはB to B to C。最終ユーザーである官公庁、病院・施設施主、マンション管理組合等と当社の間には、販売代理店や特約店、電気・通信工事店、ハウスメーカー、ゼネコン等のさまざまなお客様を介します。

当社の営業活動の特長は、直接の販売先で、売上の回収先である販売代理店だけでなく、当社機器が継続的に採用されるよう、直接販売を行わない施主や設計事務所、ゼネコン、電気工事店等、商流の上流から下流まで幅広く、きめ細かに対応していることです。

・ インターホンの国内市場の特性について。インターホンへの基本的なニーズは、24時間365日電源が入り続けた状態で、特にメンテナンスすることなく、10年、15年と稼働し続けることが当たり前とされています。屋外に設置される玄関子機やマンション向けの集合玄関機は風雨にさらされながら、猛暑や寒波、高い湿度に耐えられる高い耐久性が求められます。また、中高層マンション向けのインターホンシステムは、火災時の逃げ遅れ防止のために、火災報知設備としての役割も担い、消防法で定められたさまざまな要件を満たす必要があります。

このような背景から、インターホンは日本の法律で定められた製品仕様と品質をしっかりと満たさなければなりません。同時に長期に及ぶ保守ニーズにも応える必要があるため、国内外のメーカーが容易に参入しづらい市場です。

国内大手メーカーをはじめ、過去多くの企業がインターホン市場に参入していますが、ほとんどが充分に対応できず、撤退を繰り返しています。その結果、現在市場に残っている主な企業は、当社とパナソニック社の2社のみです。

インターホンは機能だけみれば、それほど難しくない単純な商品に思われがちですが、過酷な設置環境での耐久性の高さや法規制への対応力、長期に及ぶ継続的かつ強固なメンテナンス体制、顧客への幅広い営業力等を満たすことができなければ、市場に安定的に供給し続けられない。選択していただけない。このような特性があります。

 

【当社の強み】

・ 当社の前年度の国内インターホン市場での売上金額シェアは59%。トップシェアを維持しています。

主要な競合先であり、コンシューマー向け市場に強いパナソニック社は、家電量販店を含む戸建住宅市場に強く、当社はB to B to C市場を主戦場としてきた経緯から集合住宅向けのシステム品で高いシェアを維持しています。このような背景から集合住宅のインターホン設備の更新提案やリニューアル受注活動を強化することが、業績拡大に最も効果的だと、我々は考え、国内戦略の中心に据えています。

国内シェア全体で例年50%超を維持し続けていくことは、お客様が安心して当社を選択するための強みの一つとなっています。

・ もう一つの強みは、強固な財務基盤がもたらす安定性です。一部の投資家の皆様からすると、資本効率が悪い企業として映るかも知れません。しかし、リーマンショックでの金融危機や直近のコロナ禍の市況の低迷など、経営環境が著しく悪化・不安定化する事態は突如として起き得ます。当社はそういった中でも強固な財務基盤に裏付けされる安定的な経営と、株主の皆様への長期的かつ安定的な配当、従業員の安定的な雇用維持の3つの安定を実現。また、この数年、部品の需給が大いに逼迫した際も、部品購入や先行生産での在庫の拡大に対し、余裕ある対応ができました。今後も会社の持続性や継続的な発展を実現し、安心できる投資先であり続けるために、安定的な企業経営の継続と利益増加を図ります。

 

2. 成長戦略

・ 当社の国内:海外の売上構成比は、およそ7:3。国内売上について向こう10年程度は、集合住宅市場でリニューアルの拡大が見込めそうです。一方、少子化による人口減少から将来的な成長には大きく期待できません。そのような状況下で10年、20年後も成長し続ける企業であるためには、これまでのように国内住宅市場を成長の軸足とすることはできません。国内成長が望めるうちに、国内以上に大きな売上と利益が期待できる海外市場に成長の軸足をシフトする必要があると考えています。

・ そのような方向性をベースにまとめたのが長期経営戦略です。コンセプトは、「高い品質」の提供で「高い信頼と満足」を獲得し、「高い収益」に変換できる企業を目指すことです。第7次中期経営計画の成果をベースに、さらなる顧客価値の向上とグローバル展開の加速、競争力の向上に向けて、第8次中期経営計画に取り組んでいます。

・ 長期経営戦略の最初の3年に当たるのが第8次中期経営計画です。コンセプトは、「顧客と社会の期待に応え、発展し続ける企業体質をつくりあげる」。9次、10次の中計で海外売上の拡大という大きな方針を前進させ、長期経営戦略を実現するために必要な強靭な企業体質の獲得を、8次中計では目指します。そのために、「国内顧客サービスの拡充」「海外事業の拡大」「開発力の強化」の3つの重要な戦略テーマの実現に欠かせない基盤の充実に取り組んでいます。

・ 3つの戦略テーマのうち、「海外事業の拡大」について。今後、大きく海外売上を拡大するためには、現地ニーズに即した速やかな開発体制や品質保証、サポート体制の確立が欠かせません。そこで海外市場を3つのエリアに分け、エリアごとにマーケティングや品質保証機能など営業以外の機能を充実。それにより、市場ニーズにいち早く応えられる体制整備を進めています。

この上半期は、北米では現地の開発機能の拡充に向け、エンジニア中心に増員。今後の中南米攻略に向けた取り組みとして、効率的な受注活動を可能にするための人員配置や新たな販売拠点の設置など、販売体制の整備も推進しています。

アジア・オセアニアでは、これまで国内から直接貿易で販売していた東南アジア諸国のより効率的な受注体制の構築を目指し、シンガポールの販売子会社からの販売経路にシフト。シンガポールのハブ化を実現しました。これにより他社の後塵を拝していた地域、例えばインドネシアを中心にナースコールなどのシステム商品の受注が進んでいます。また、人口が多く成長著しいインドでは、高速道路など社会インフラに向けた提案を中心に市場浸透を始めています。引き続き東南アジア市場の売上拡大に向け、より積極的な受注活動を進めたいと考えています。

市場動向に不安定さが増しているヨーロッパでは、フランスの販売子会社の機能強化に向け、社内体制を整備しています。

・ 海外向け商品やサービス戦略は、セキュリティニーズの高まりを背景とし、さまざまなネットワーク機器との連動が柔軟に対応可能なIPネットワーク対応インターホンシステムの提案を強化しています。それらに加え、寒冷地対応や過激なデモでも壊されにくい衝撃耐久商品の提案など、各国の生活文化や過酷な設置環境にも耐えうる機器をラインナップに追加。国内市場との違いに迅速に対応し、各国特有のニーズをしっかりつかむために、引き続き販売子会社の機能強化に努めていきます。

 

【サステナビリティ】

・ 当社は従来から持続可能な社会の実現に向けて、ESG、SDGsへの取り組みを進めています。今年度も活動対象となるゴールを6つ選定。執行役員による旗振りの元、全社的な取り組みを推進しています。

・ サステナビリティな取り組みの一例が、宅配ソリューションサービス・Pabbit(パビット)です。これは当社のインターホンシステムが持つ集合住宅のオートロック制御機能と、資本業務提携先であるPacPort社が持つクラウドサービスを連携。宅配便の荷物番号をそのまま活用し、入居者が許可した宅配物に対してのみ集合住宅のオートロックを開錠し、自動ドアを開き、置き配を含む安全な宅配を可能とするサービスです。直近では競合他社でも類似サービスがリリースされていますが、Pabbitは専用アプリをダウンロードする必要がなく、入居者の手間が不要なサービスです。また、配送業者からサービス利用料を徴収するビジネスモデルで、サービス利用に当たり、当社が入居者やデベロッパー、管理会社から利用料をいただくことはありません。再配達コストの削減とそれに伴う環境負荷の低減、ひいては入居者の住みやすさを実現できるサービスです。

このビジネスモデルは、PacPort社で特許登録されており、当社とPacPort社以外に誰も真似できません。当社は再配達の削減に向け、インターホン業界全体が取り組むこと自体については、社会課題の解決という観点からも大変ポジティブに受け止めています。

・ 国土交通省によると、国内の宅配便の年間配達個数は、50億個を超えるまでに増加。2023年10月の再配達率は約11.1%。政府は再配達率の半減に向け、置き配利用者にポイントを付与する制度を検討する、とのニュースもあります。テレビCMでも再配達を減らすための協力が頻繁に呼びかけられています。

当社も昨年8月から新たに特命の営業チームを発足。サービスの市場導入を加速させるための取り組みを強化しています。業績への貢献では、まだまだ時間を要すると思いますが、将来性を見越し、首都圏を中心に、大手デベロッパー物件へのシステム採用が着実に拡大。従来の物売りにもよい効果が出てきています。

今後、当社が市場に供給する集合住宅向けの主要なインターホンシステムには、Pabbit機能を標準搭載する予定です。それにより、当社は集合住宅市場で新築・リニューアルを併せ、年間約1万5,000棟、およそ40〜50万世帯にPabbit機能を持つインターホンシステムを納入することになります。つまり10年後には全国で500万近い世帯が、20年後には1,000万近い世帯が、ご要望さえあればいつでもPabbitのサービスを利用できる、もしくはご利用いただいている状態になります。まさに社会インフラの一角を占めるサービスとして、拡大することを想定しています。

・ Pabbitサービスの発展性について。当初想定していた宅配事業者との連携による再配達の削減だけでなく、ネットスーパーやフードデリバリー事業者、ウォーターサーバやクリーニング業者など、あらゆる方面から多くの関心・興味・相談が寄せられています。より住みやすい町づくりの実現に向け、さまざまな生活パートナーと連携し、魅力的なサービスに成長させたいと考えています。

・ CO2排出量削減に向けた取り組みについて。現在当社では、各事業所での再生可能エネルギーの活用を推進しています。今年度は国内グループや子会社を含む一部事業所で使用する電力のすべてを再エネ電力に切り替えました。社用車のハイブリッド車への切り替えも順次進めています。

このような活動により、当社グループの国内事業所では、2020年度比で年間約1,000トンのCO2排出量削減ができる見込みです。今後は海外子会社での再エネ活用も視野に入れ、取り組みを強化する予定です。

Pabbit事業の推進や環境配慮設計の推進と共に、引き続き環境負荷の低減に向け、しっかり検討と取り組みを推進したいと考えています。

 

3. 業績動向

・ 足元に経営環境での最大のトピックは、部品の供給状況が上半期に大きく回復したことです。これにより上半期は、国内集合住宅のリニューアル物件の受注残や北米を中心に前年度からの繰り越し分を含むバックオーダーが解消。業績のプラスとなりました。

海外での販売と生産バランスの違いにより、当社では円安は増収減益の要因となります。足元では想定を超える円安影響により、海外売上高の増加要因となる反面、利益面では生産時の部品購入額の上昇・高止まりと相まって、大きな減益要因となっています。

市場動向は、営業面では国内外市場のセキュリティニーズや非接触・非対面ニーズが依然、高水準を維持しています。一方、ヨーロッパ市場を中心に住宅価格の高騰やローン金利の上昇等により、住宅市場の市況が低迷する影響を徐々に受けています。上半期の好調を牽引した北米市場でも、第3四半期以降は設備投資や個人消費に陰りが見え始めており、海外売上高全体の伸びが想定よりも鈍化する見込みです。なお、長引くウクライナ情勢や中国の不動産危機が業績に直接的に影響することはありません。

・ このような外部環境のもと、2024年3月期の通期連結の業績予想を本年2月6日に修正開示しました。売上高は601億円、営業利益は45億円、経常利益は51億円、親会社株主に帰属する当期純利益は37億円を予想しています。売上高は8月開示の修正計画から微増修正し、過去最高の計画を維持していますが、営業利益以下、各利益については、海外市場の鈍化や円安影響により、減益に修正しています。しかし、前期を上回る見込みであることには変わりなく、各利益とも特需的な背景を持つ2022年3月期に次ぐ歴代2位の計画です。

第8次中期経営計画の目標値については、現在、当初計画から見直し検討中です。当社の経営環境や資本市場からの期待感を踏まえ、修正内容をしっかりと検討し、適宜開示したいと考えています。

・ 収益性の維持・向上に向けた価格改定について。この数年間、サプライチェーンの混乱がもたらした部品コストの増加に対応し、国内では2022年10月受注分より、各市場(戸建・集合・ケア・業務)向け商品の価格改定を実施。コストアップによる影響を今下半期以降は一定程度吸収できたと考えています。その一方、当社が注力しているIPネットワーク対応システムに関しては、製造コストの高騰を吸収すべく、全社を挙げて努力してきましたが、現行の価格体系維持が困難な状況となったため、2023年10月に新たな価格改定を実施しました。

海外向け商品でも各国の市場性を勘案し、メイン市場の北米では昨年7月に価格改定を実施。適宜、価格改定を検討・実施しています。

経費の見直しなどの徹底も含め、引き続き収益性の維持・向上に向けて取り組みます。

 

4 株主還元

・ 上半期の業績内容を勘案し、株主の皆様へのより一層の利益還元を実施するため、昨年8月1日付で、当初の年間配当80円を修正し、中間・期末共に1株当たり10円増配を実施。各50円、年間配当100円と予想していました。

期末配当予想の50円について、8次中計の3期累計で15億円程度の追加還元を実施するとの中期還元方針に基づき、2月6日付でさらに30円の増配を決定。期末配当を80円に修正します。これにより年間配当は、当初予想の100円から1株当たり130円と増配する予定です。

ちなみに本日(2024年3月7日)の終値は2,929円のため利回りは4.4%になります。

なお、次期以降の追加還元の手段や時期等については、資本構成のバランスも踏まえ、引き続きしっかり検討すると共に、その結果は適宜開示します。

当社の経営姿勢に共感いただける方々をはじめ、ステークホルダーの期待に応えられるよう、グループ一丸となり、引き続き事業に邁進していきたいと考えています。

 

 

5. 質疑応答

  • 当日いただいた主なご質問に対するご回答(当日回答済分)

 

Q1 今後の配当については、今期の130円がベースになるのか。

A1 株主の皆様に対する利益還元を経営の重要な政策と位置づけており、長期的な視点

で安定的な配当を継続することに努めてまいります。今後の配当については、現時点で130円をベースにするとは明言できませんが、経営基盤の強化と収益見通しを勘案しつつ、積極的な成長投資と株主還元を検討してまいります。

 

Q2 貴社の従業員に関して、中途採用率と退職率を教えて下さい。人材の定着率を上げる

施策がもしあればお聞かせください。

A2 直近の正規雇用労働者の中途採用比率は50%強、新卒採用からの3年離職率は5%

未満です。人材定着に向けては、教育・研修の充実化とともに、ワークライフバランス活動の推進を行っており、時間外労働の削減や有給休暇取得率の向上など、働きやすい職場環境の整備にも注力しています。当社が求める人材の獲得に向けて、カムバック採用や従業員からの紹介による採用(リファラル採用)など新たな採用方法も導入しており、これにより当社と採用人材の双方のミスマッチ低減が期待でき、定着率の向上にもつながると考えています。

 

Q3 PBRが1倍を割っている現状について、どのように考えているのか教えてください。

また、社長が考える適正株価についても聞かせてください。

A3 PBRについては、現状0.7〜0.8倍台を推移し、1倍を割り込んでいることを課題とし

て認識しています。適正株価という意味では様々な考え方がありますが、PBR1倍という指標が目安になると考えます。方向性としては、PBR向上に向けて資本コストを意識しつつ、効率的に本業での利益の最大化が、第一の取り組みであると考えており、手元資金の有効活用による積極的な成長投資を行うことを想定しています。国内においては比較的利益率の高い集合住宅市場のリニューアルを中心に取り組みを進めるとともに、先ほど説明いたしました海外市場の拡大に向けたリソース配分の強化等を行うことにより、利益体質の強化をはかってまいります。また、事業拡大に向けた中核人材の育成や採用等に対し、積極的な投資も実行いたします。さらには、8次中計期間における株主還元も強化し、資本構成の適正化をはかってまいります。

 

Q4 大学の新卒を一人前の人材に育てるには、どれぐらいのコストがかかりますか。

A4 一人前の定義が難しいため、回答をお伝えしにくいが、永続的な企業成長を実現する

ための基盤となるのは紛れもなく人材である、と考えています。この考えに基づき、会社が従業員の価値を最大限引き出すために、新入社員から管理職まで階層別研修の充実化をはかっています。また、従業員自らの手上げ方式による研修やeラーニング制度も導入しており、自己啓発を促す教育環境の整備にも注力しています。新入社員研修の充実化に向けては、上司・先輩社員が一体となって新入社員の成長を促すOJTトレーナー制度も採用しており、トレーナー側の研修の充実化もはかっています。

 

Q5 現在国内に多く拠点を設けていますが、今後の事業拡大において他のエリアを考慮す

るかどうか、また地域選定に関する基準について教えていただけますか。

A5 海外市場の販売構成比の拡大が中長期の目標です。現在のメインである北米・欧州が

中心になることは間違いないが、更なる市場の拡大に向けてシンガポールを中心とする東南アジア市場の拡大にも注力しています。もちろん既に販売している70か国以外の新たな攻略エリアについても適宜検討をしています。選定基準としては、インターホンの需要が生じる上で一定の経済的な水準が必要であり、主として都市部の経済環境、生活水準が目安になります。また、現地法などの法規制の動向についても検討要素になります。

 

Q6 御社の競合他社は何処になるのでしょうか?

A6 国内の戸建や集合住宅の住宅市場においては、パナソニック社が最大の競合です。国

内のケア市場においては、特に病院向けではナースコールの専門メーカーであるケアコム社が最大の競合です。海外市場は北米では主に防犯カメラ等のセキュリティ機器メーカー、欧州では現地のインターホン専門メーカーやアジア圏のメーカーが多数競合しており、国内のような大きなシェア獲得には至っていません。海外市場の拡大に向け、引き続き戦略を確実に実行してまいります。

 

Q7 同業他社に対する強みは何ですか?逆に劣後すると思うポイントはなんですか?

A7 当社は品質に対するこだわりを徹底し、国内外でクオリティの維持・向上に努めてお

り、国内市場における高いシェアと当社が提供する「高品質」が強みです。なお、ここにおける品質とは提供する商品やサービスは勿論のことであり、受注からアフター対応までのプロセスや問い合わせ等を含めた品質を指します。例えば、国内コンタクトセンターでは、一度のやり取りで修理日を確定できる仕組みを構築しており、お客様から評価される「高品質」の1つとなっています。海外においては、品質が評価され著名物件や各国の重要施設にも当社システムが採用されています。逆に弱みというべきか、専門メーカーであるが故に総合メーカーのような1社完結での総合提案が難しい面もあります。ただし、これはアライアンス企業の色を選ばない汎用性や、長年培ってきた専門性を発揮できるという強みの裏返しでもあると考えています。

 

 

 

  • 当日いただいた主なご質問に対するご回答(当日未回答分)

 

Q8 新たなサービス展開を教えてください。

A8 本編でも説明いたしましたが、「再配達の削減」という社会課題の解決に向けた新サービスであるPabbit(パビット)を鋭意展開中です。当社のインターホンシステムがもつオートロック機能と、資本・業務提携先であるPACPORT社のクラウドサービスを連携させることにより、宅配便の荷物番号をそのまま活用して、入居者が許可した宅配物に対してのみ、集合住宅のオートロックを解錠し、自動ドアを開くことで、置き配を含む安全な宅配を可能とするサービスです。

直近では、競合他社も類似サービスがリリースされましたが、Pabbitは入居者による専用アプリをダウンロードする必要がなく、サービス利用において入居者の手間を一切必要としません。また、配送業者からサービス利用料を得るというビジネスモデルであり、当社が入居者やデベロッパー、管理会社等から利用料をいただくことなく、再配達コストの削減とそれにともなう環境負荷低減、ひいては入居者にとっての「住みやすさ」を実現できるサービスとなります。

 

Q9 インターホン業界のリーディングカンパニーを維持している秘訣はどこにあるので

しょうか。

A9 当社の経営理念である「自分の仕事に責任を持て 他人に迷惑をかけるな」のもと、1人ひとりが責任を持って事業活動に取り組んでいることがベースにあります。専門メーカーとして品質に対するこだわりを徹底し、国内外でクオリティの維持と向上に努めており、こうした当たり前の行動がお客様の評価につながり、今日に至っていると考えています。引き続き、経営理念のもと社会課題の解決=当社の永続的な発展へとつながるように事業活動に邁進いたします。

 

Q10 インターホン製品にセキュリティー機能を充実・強化した製品の開発状況について、

教えてください。

A10 国内外市場においてセキュリティニーズは高水準を維持しており、ニーズを満たす機能やサービスの構築、改善は必須であると認識しています。足元の開発状況等の詳細については社外秘となるためご容赦願いますが、引き続き、市場ニーズに適時的確に対応できる開発体制の強化に向け取り組みを進めてまいります。

 

Q11 業績に影響を与えるリスクを教えてください。

A11 リスクの1つに国内人口の減少による新築住宅着工数の減少が挙げられます。また人材の流動性が高まっていることはチャンスでもありリスクにもなり得ると考えており、開発人材を中心とする適時適切な人的資本への投資が重要になると考えています。

なお、当社は地球温暖化をはじめとする気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題と認識しており、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明しております。今後もTCFDのフレームワークに基づくリスク管理を進めるとともに、引き続きシナリオ分析を通じて経営の強靭化を図り、事業活動を通じた持続可能な社会の実現への貢献と新しい価値の提供を進めてまいります。

 

Q12 人口減少の折 今後の海外展開について 御社の考えを お聞かせください・・・心

から感謝!

A12 この度はご視聴いただきありがとうございました。本編でもお伝えしたとおり、国内は向こう10年程度は集合住宅市場におけるリニューアル拡大が見込めそうですが、少子化による人口の減少からも、将来的にその成長には大きな期待は出来ないと考えています。そうした状況で、10年後、20年後においても、成長し続ける企業である為には、これまでの様に、国内住宅市場を成長の軸足にし続けることはできません。国内の成長が望めるうちに、国内以上に大きな売上と利益が期待できる海外市場に、成長の軸足をシフトさせていく必要がある…と考えています。そのために、まずは第8次中期経営計画に掲げる「海外市場の3極化体制」の確立に向け、エリア毎にマーケティングや品質保証機能など、営業以外の機能の充実を図ることで市場ニーズにいち早く応えられる体制の整備を進めています。

 

Q13 最近の為替状況は貴社の業績にどのような影響をもたらしていますか。

A13 為替の影響としては、海外での販売と生産のバランスの違いにより当社では円安は増収減益の要因となります。足元では想定を超える円安の影響により、海外売上高の増加要因となる反面、利益という点では生産面における部品購入額の上昇・高止まりとも相まって、減益要因となっています。

 

Q14 どのような社風の企業ですか?また、社員が働きやすいですか?

A14 「顧客価値」を第一にする姿勢で、全てのステークホルダーから信頼されるよう事業に取り組んでいます。常に大きな目標を掲げ、特に20〜30代の若い社員たちがチャレンジできる企業です。これらの後押しに向けては、社員の生活(プライベート)を充実させることが、仕事の生産性やパフォーマンスに好影響を及ぼし、またそれが更なる生活の充実に繋がると考えており、ワークライフバランス活動を積極的に推進しております。一人ひとりの「時間外時間削減」や「有給休暇取得率向上」等、ワークライフバランスの充実を図り、働きやすい環境作りにも注力しています。

 

Q15 原価低減(コストダウン)の取り組みとその進捗(年間低減額)を教えてください。 

A15 原材料、部品等の調達においては、コストダウン調整を含め、お取引先との相互信頼を構築することによる最適調達を追求しています。また、環境配慮の基準に基づき、環境負荷の少ない原材料、部品等の優先購入(グリーン調達)を推進しています。具体的なコストダウン額は社外秘とさせていただきますが、引き続き商品供給でお客様にご迷惑をお掛けしないよう持続可能な調達に取り組んでまいります。

 

Q16 医療用ナースコールについて「鳴らして終わり」ではなく、重篤な状態でのコール、

単純な依頼のコールなど内容を分けて鳴らすようなことはできるのですか?またナースコールには、医療介護現場の人手不足を解消するような手だてはないのでしょうか?

A16 ナースコールの機能として、コール種別に応じた呼出音や、呼出の優先度を設定する

ことが可能です。社会課題となっている医療介護現場での人手不足の解消に向けては、スタッフ間のスムーズな連携が不可欠です。当社は、今誰が出勤していて、誰と連絡が取れるかがひと目でわかる電話帳アプリ「CareRings Contact(ケアリングスコンタクト)」を医療介護現場に提供しており、好評いただいています。

▼CareRings Contact(ケアリングスコンタクト)のご紹介

https://www.aiphone.co.jp/services/inform-communicate/carerings/

 

Q17 AIがものすごいスピードで進化していますが、インターホンにはどのように応用出

来るでしょうか。研究はされているのでしょうか。

A17 当社としましても国内外の当社製品・サービスにおいてAIの活用によるビジネスチャンスは拡大できると考えています。競合との兼ね合いもあり、研究開発・検討状況については回答をご容赦願いますが、当社はネットワークカメラを使って患者の様子をモニターし、転倒転落の危険性があるときに、看護師のスマートフォンへ通知する商品Vi−nurseを提供しています。危険性の検知は、機械学習という方法を用いて判断しており、これにより看護業務負担の軽減を図っています。引き続き、製品・サービス開発や他社との連動においても活用を検討してまいります。

 

Q18 売上成長について、価格要因、商品MIX、数量増など具体的な内訳を教えてくださ

い。

A18 直近の好調な売上要因としては、コロナ禍の経験を経て、これまでのセキュリティニーズとともに入退室管理のニーズが高まりをみせていることが挙げられます。また、電子部品の調達難が凡そ解消されたことにより、国内外の各市場における商品供給が安定化し、マンション向け商品やネットワーク対応商品等のシステム商品の販売が好調に推移したことも好影響を与えています。なお、原価高騰による利益への圧迫要因はあるものの、国内外の商品価格の改定を実施する等、値上げの効果も売上向上に寄与しています。

 

Q19 海外市場へのシフト、特に治安の良くないアフリカや南米の企業、および住宅などに

於けるセキュリテイーニーズは高いと思われます。

A19 インターホンの需要が生じる上では一定の経済的な水準が必要であり、主として都市部の経済環境、生活水準が目安になります。また、現地法などの法規制の動向についても対応の必要性が生じるため、各地のニーズの早期把握とともに攻略地域については慎重に選定を進めています。

 

Q20 株価対策として、配当性向の引き上げやDOEの採用は検討していますか。

A20 現状の当社株価の割安感を可能な限り早期に解消できるように様々な施策を検討しており、還元策の強化・見直しについても手段の1つとして認識しています。なお、今年度を含む3か年計画である第8次中期経営計画において、還元強化に向けた取り組みをしっかりと行うこととしており、2024年3月期の年間配当は130円/株の予定です。

 

Q21 インターフォン事業における革新的な新規技術(≒イノベーション)はありますか?

A21 新しい技術の発明を指すという意味においては、現時点では大きな革新は無いが、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらすという観点では、宅配ソリューションサービス『Pabbit』を市場導入いたしました。まずは、このサービスをより市場浸透させるべく取り組みを強化いたします。

 

Q22 今後のマンションの高齢者対応施策があれば教えてください。

A22 マンションの経年とともに居住者の平均年齢もあがることに着目し、ご年配の方にも使いやすいインターホンの開発に取り組んでいます。インターホンが年々高機能化・多機能化する中で、操作も複雑になり、また時代の流れとしてUD(ユニバーサルデザイン)が当たり前となっています。これまでの既成概念で考えず、ユーザーの認知特性や身体特性を考慮した商品開発を追求してまいります。

▼参考商品

https://www.aiphone.co.jp/products/complex/system/rakutouch-dearis/feature/

 

Q23 成長イメージに成長の軸足を海外市場にシフトするとのことですが、長期、将来とあ

りますが具体的にいつ頃みたいなお考えはお持ちでしょうか。

A23 長期の方向性を示す長期戦略を10年として進めています。「将来」については、最終的な目標として定めており、早期実現に向けた取り組みを進めています。なお、今年度より開始している第8次中期経営計画の開示においては、海外市場の売上構成を高めていくという長期的な戦略の方向性とともに、3か年の中期計画をお示ししています。

 

以上

 

 

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