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日産化学株式会社(4021)

開催日:2024年3月10日(日)

説明者:サステナビリティ・IR部 IRグループリーダー  上出 未来 氏

 

1.沿革・会社概要

  • 日産化学株式会社サステナビリティ・IR部にて、IRグループリーダーをしております上出です。当社のサステナビリティ・IR部は2022年4月に発足し、財務情報のみならず非財務情報をも含めた統合的な情報を発信しています。
  • 当社は1887年、日本初の化学肥料製造会社として創業しました。当社は英国留学中に化学肥料に感銘を受けた高峰譲吉氏が、日本における化学肥料の必要性を認識し、澁澤栄一先生に働きかけて設立されました。
  • 1937年日産化学工業株式会社と改称し、1965年石油化学事業へと進出しますが、体力勝負の業界において、当時は収益が上がらず、1988年に石油化学事業から撤退しました。これを機に当社はファインスペシャリティメーカーへとかじを切り、研究開発が主導するコンパクトで収益性の高い会社を基本コンセプトとして、現在へ至っています。
  • 当社の従業員数は連結で約3,000人です。事業内容は、機能性材料事業、農業化学品事業、化学品事業、ヘルスケア事業の4つのセグメントがありますが、このうち機能性材料事業、農業化学品事業が営業利益の9割近くを占めています。本日はこの2つの事業に特化して説明します。
  • 当社の業績は2012年度から2022年度まで右肩上がりで推移してきましたが、2023年度は半導体市場の低迷の影響を受け、一時的な減益を見込んでいます。

 

2.当社の特徴

  • 当社は2003年度以降20年連続で10%以上の営業利益率を保持しています。一般的に化学業界は景気の影響を受けやすいと言われていますが、当社は長期にわたり高い営業利益率を維持しており、そのように高い営業利益率を保持できる企業は当社以外もう1社ほどだと思います。2023年度の営業利益は一時的に減益になりましたが、営業利益率は20%以上の高い水準を維持しています。
  • ROEは資本の効率性を示す指標ですが、当社は従前からROEを最重要の経営指標と位置付けています。日本企業のROEは10%に満たないと長年言われてきておりますが、当社は高い水準を維持しています。2027年度までの中期経営計画では、ROE18%以上維持という目標を掲げています。今期は、半導体市場低迷の影響を受け、目標である18%を若干下回る見込みですが、それでも高いレベルにあります。当社はROE向上を目的に、2006年度というかなり早い段階からほぼ毎年コンスタントに自己株式の取得を行い、その株式は基本的に取得した年度で償却する方針となっています。自己株式を取得すると、ROEを計算する際の分母である株主資本が小さくなるため、ROEの数値は上がります。2006年度から2022年度まで取得した株式は、4,610万株、1,135億円となり、これは取得開始前の発行済株式の約25%に当たります。
  • 当社は株主還元を重視しており、2022年度から開始した新中期経営計画では配当性向を、10%引き上げ55%を目標としています。2012年度から2022年度まで11期連続で増配となっています。
  • 自己株式取得を含めた総還元性向は目標75%としています。これは1年間で取得した税引き後の利益の4分の3を株主に還元するということです。今期は足元の状況を勘案した結果、従来の目標から柔軟に変更し85%としています。
  • 当社の特徴には、高い株主還元とともに研究開発力の高さがあります。独自の革新的技術で社会の要請に応える未来創造企業を目指すことが当社の目標の1つですが、相応の資源を投入した研究開発を長年継続しています。研究開発費売上高比率は7〜9%と推移しており、大手総合化学会社6社の平均3%台と比較すると当社の研究に対する重視度が分かると思います。近年7%台で推移しているのは、コロナ禍におけるオンライン業務などで経費が削減されたためです。
  • 機能性材料事業の売上高利益率は30.8%でしたが、このうち9.2%の費用を研究開発にかけています。また総合職社員の4割が研究開発に従事し、最大勢力となっています。
  • 当社の成長ドライバーである機能性材料事業には、液晶ディスプレイ材料、半導体材料、無機コロイドがあり、液晶ディスプレイ材料分野が大きな利益を出しています。もう1つの成長ドライバーである農化学品事業では、一般農薬に加え、動物用医薬品が成長に寄与しています。この2つの事業の占める利益率はおのおの約30%と高い収益性を示しています。
  • 機能性材料の営業利益は2012年度は72億円でしたが、2022年度は3.5倍の254億円となり、農業化学品については2012年度50億円に対し、2022年度は4.6倍の231億円となりました。非常に大きな成長を遂げています。

 

3.主要セグメント概況 機能性材料セグメント

  • 機能性材料セグメントの営業利益は、全体の約50%を占め、営業利益率は30%前後で推移しています。このセグメントの特徴は、高収益、世界市場シェアの高い製品を有している、新製品の開発に経営資源を投入しているなどがあります。
  • ディスプレイ事業におけるディスプレイ材料の主要製品は「サンエバー」という製品で、これは液晶パネルの配向膜です。配向膜は液晶パネルの製造に不可欠な材料で、液晶分子の向き、反応速度、コントラスト、解像度などを制御するため、液晶パネルの品質を左右する重要な役割を担っています。「サンエバー」は液晶分子を上下から挟み、高精細で視野角の広い液晶画面の製造を可能にします。「サンエバー」はボトルに入った液体で、顧客の要望に合わせて配合を変えることでカスタマイズし、何百種類と展開しています。日本にはもう1社競合企業があり、市場を二分しています。
  • また当社は新技術の光IPS市場で100%近いシェアを保持しています。スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、モニター、車載用などに用途を拡大しています。特にコロナ禍において、テレビ会議、動画視聴の機会が増えたため高精細で視野角の広い液晶画面のニーズが高まり光配向IPS市場が大きく伸びました。
  • EVやAIの普及により大量のデータを迅速に処理する能力の需要が急増すると言われています。そのため半導体市場は、現在は調整局面にありますが、今後も大きく成長していくと考えられます。
  • 当社の半導体における主力製品である「ARC®」はAnti-Reflective Coating for semiconductorの略で、半導体反射防止コーティング材という意味です。全行程で使われる露光のプロセスの中で、「ARC®」を通すことで光が基盤に反射せず、きれいに回路を形成することができます。アジアで圧倒的なシェアを有しており、アジアの半導体市場の成長とともに当社の事業も拡大しています。こちらも顧客の要望に合わせて配合を変え、カスタマイズし、何百種類と展開しています。顧客の要望に沿うためには密なコミュニケーションが重要であるため、この分野に研究員が最も多く配置されており、それがこの事業における研究力の高さとなっています。
  • 「ARC®」は主にKrF、ArFで用いられています。当社は最先端であるEUV向け材料も製造しており、今後の成長ドライバーとして位置付けています。
  • 機能性材料事業は、売上高営業利益率が30%以上と高収益であり、ディスプレイや半導体材料において、世界市場シェアの高い製品を有しています。特に半導体市場は、技術の進化のスピードが速く、最先端を維持するためには、研究開発が重要となります。新製品の開発力を上げるべく、この事業における売上高研究費比率が高くなっています。
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4.主要セグメント概況 農業化学品セグメント

  • 農業化学品事業の営業利益は全体の4割強を占めています。営業利益率についても30%弱を維持しており、収益性の高い事業となっています。
  • 農薬の事業環境について幾つかの観点から説明します。当社の農薬の売り上げの過半は国内向けであり、国内販売額は第1位のメーカーです。世界における日本の農薬市場規模は第4位で、かなり大きいです。2050年には世界人口は97億人にもなると推定されており、作物収量の増加は非常に重要な課題です。農薬を使用しなかった場合、作物の収量は減ってしまうため、収量増加のための農薬の貢献度には高いものがあります。
  • 大手の欧米企業と比較すると小規模ではありますが、日本の研究開発力は高いです。また日本はヨーロッパと比較した場合、南北に長いという地理的特徴を持っており、多種多様な気候によって栽培条件が良いと言われています。農薬は長期間の使用によって抵抗性が生まれ効力が弱まるため、新製品の開発力が事業を左右します。
  • 農業化学品の新剤開発スケジュールは、農林水産省のモデルによると、まずスクリーニング期間が5年、その後さまざまな試験を含め、初期開発から本格開発までの期間は約10年で、トータル約15年を要します。これは医薬品と同程度の期間です。また効能だけではなく、安全性や環境への配慮の評価が非常に重要と認識しています。
  • 農業化学品の特徴は、時間と多額の研究開発費を要する一方、半導体などと異なり景気変動の影響が小さいところです。当社では自社開発新剤を柱に、買収・導入による販売力強化を図っています。2019年度に「クィンテック」、2020年度には「ダイセン」という殺菌剤を米国コルテバ社より買収し、ポートフォリオの補完を行っています。
  • 農業化学品には今後の成長ドライバーとなる製品が多数あります。2018年度に上市した殺虫剤の「グレーシア」をはじめ、2027年度にはアジアを中心に大型除草剤の上市を予定しています。農業化学品の開発経緯には、自社開発、買収、他社からの導入がありますが、自社開発製品が最も利益率が高く、2008年度の「ライメイ」(殺菌剤)、「スターマイト」(殺虫剤)、2011年度の「アルテア」(除草剤)、2013年度の「フルララネル」(動物用医薬品原薬)、2018年度の「グレーシア」(殺虫剤)が自社開発製品です。
  • 現在新製品のパイプラインには3製品がラインアップされています。パイプラインとは長い時間を要する開発過程において、上市できる角度が非常に高い製品のことで、2024、2025、2027年度に3製品の上市を見込んでおり、それぞれ25から100億円レベルのピーク時売り上げが期待されています。
  • 農薬製品の売上高は2022年度に大きく伸びています。除草剤の割合が最も大きく、全体の6割を占めています。グローバルの農薬市場と比較すると殺虫剤の売り上げが少なく、今後は「グレーシア」をはじめとする剤の拡散を図っていく考えです。
  • 殺虫剤の「グレーシア」は、虫の経皮から直接薬剤が吸収されるため即効性が高く、日本、韓国、インドなどでも拡販が進んでいます。またミツバチへの影響が少なく、環境にも配慮した剤です。売り上げは順調で、ピーク時の売り上げ目標を100億円としています。
  • 動物用医薬品原薬「フルララネル」は当社が発明した化合物です。「フルララネル」を有効成分とした「ブラベクト®」が、米国メルク社より100カ国以上で販売されています。当社の売り上げは、「フルララネル」の売り上げと最終製品である「ブラベクト®」の売り上げに一定の料率をかけたロイヤルティーから構成されています。メルク社の発表によると昨年度の「ブラベクト®」の販売額は10億ドルを超えました。「フルララネル」はペットの犬猫のノミ、ダニの駆除剤の原薬です。最終製品の「ブラベクト®」で主力の製品は、ビスケットのような形で、餌に混ぜて摂取させます。効力の期間が3カ月と長く、既存製品に比べ3倍長持ちします。「ブラベクト®」は獣医で処方されるため、効力が長いと病院へ行く頻度を減らせるというメリットがあります。こちらもコロナ禍におけるペットオーナーの増加により販売額が大きく伸びました。

 

5.2023年度の見通し

  • 当社は昨年11月10日に通期予想を引き下げています。本年2月9日に発表した2023年度第3四半期決算では業績予想を上回りましたが、化学品およびディスプレイに一定の下ぶれリスクがあるため、昨年11月発表の通期予想を据え置いています。
  • また、昨年12月15日に追加で自己株を50億円取得することを発表し、上期実施分50億円と合わせて100億円の取得が完了し、総還元性向は85%となる見込みです。

 

6.ESGトピックス

  • ESGトピックスとしてマテリアリティを3つ掲げています。「人びとの暮らしに役立つ新たな価値の提供」、「自社事業基盤の強化」、「レスポンシブル・ケア活動の継続的強化」の3つです。特にGHG排出量については、2027年度までに2018年度比3割削減の目標を掲げています。また当社は研究開発重視の企業であるため、ダイバーシティにおけるKPIも研究所における女性総合職比率を18%以上としています。
  • GHG排出量が550万トンを超える大手化学メーカーと比較して当社の排出量は多くはありませんが、削減に向けて努力していきます。
  • ガバナンスについては、役員報酬体系にESG指標を組み入れています。昨年6月に女性取締役が2名となり、取締役10名のうち4名が社外、そのうち2名が女性となっています。
  • ESGインデックスや外部評価については、Dow Jones、FTSE、MSCIなど、主要な ESG 銘柄に複数年連続で選定されています。また本年2月、当社の統合報告書が日経統合報告書アワードにて初めて優秀賞に選定されました。

 

7.当社に対する外部評価

  • IRに関する外部評価としては、証券アナリスト協会よりディスクロージャー優良企業として、化学・繊維部門で第2位に選出されています。またJPX Prime150の構成銘柄にも選出されていますが、特にROEと株主資本コストとの差である「エクイティ・スプレッド」が高いという要因で選定されています。
  • ホームページも一定の評価をいただき、これまで実施された説明会資料などさまざまなデータを掲載しています。IRに関する情報はメールでも配信しています。

 

8.質疑応答

Q1. 機能性材料や農業化学品などで、営業利益率が高いのはなぜでしょうか。

A1. 機能性材料事業では、液晶ディスプレイや半導体製造において、ニッチですが必要不可欠なシェアの高い製品を有しています。農業化学品についても、特に自社開発の剤は利益率が高く、動物用医薬品原薬「フルララネル」の貢献度が高くなっています。この2つの事業における当社の強みは新しい製品を次々と生み出せるところで、成長ドライバーとして今後の貢献が期待できると考えています。

 

Q2. 一般社員における女性の登用は進んでいますでしょうか。

A2. 当社は研究開発重視の会社のため研究職の社員が多く、そもそも女性社員は少ないです。女性管理職ともなるとさらに少ない現状ではありますが、女性をリーダーに登用するための後押しが進んでいます。私自身も子供がおりますが、リーダーをやらせてもらっています。私の所属するサステナビリティ・IR部にはサステナビリティグループがありますが、そのリーダーも女性です。その女性は4月にはサステナビリティ・IR部の部長に就任する予定です。女性のリーダー育成に特化した研修や人事制度の改定による役員等級制度の導入など、少しずつ環境を整備しています。人数は少ないものの優秀な女性が多いと感じていますので、環境が整うことにより女性の登用もおのずと増えていくと考えています。

 

Q3. 今後の成長ドライバーとなる製品は何でしょうか。

A3. 機能性材料事業における液晶ディスプレイの材料と、半導体の反射防止膜です。それ以外に微細化の流れを受け、EUV材料も成長しています。農業化学品事業においても「フルララネル」、「グレーシア」に続き、新しい剤が出てきますので、これらが今後の成長ドライバーとなると考えています。

 

Q4. 主要製品の競争環境やシェアがどうなっていますか。

A4. 主要製品の競争環境やシェアに大きな変動はありません。特に当社が開発した光IPSについては、非常に高いシェアを有しています。

 

Q5. 貴社のような R&D型の企業であれば、株主還元に代えてもっと投資を積極的に行っていく方針はありませんか。

A5. 当社はR&Dに注力している会社です。よって、R&D活動に必要な投資を確実に行いながら、潤沢なキャッシュフローを株主の皆さまへ積極的に還元していく方針です。

 

Q6. 海外売上高比率など海外展開の状況はどうなっていますでしょうか。

A6. 当社は国内が主体の会社ですので、海外については少しずつ展開を図っています。農業化学品事業においては、昨年度インド共和国で農薬原体の製造工場が稼働しました。また機能性材料事業においては、大韓民国で半導体向けの新工場の稼働を予定しています。そのような投資から海外への転換を着実に進めていく所存です。

 

Q7. 今期業績予想での為替レート前提は幾らでしょうか。為替変動による業績への影響を教えてください。

A7. 2023年度の為替レートの前提は142円としています。2023年度下期半年で1円円安になると、営業利益ベースで約1億円のプラスになるという試算です。他社と比較すると、為替感応度はさほど高くはありません。

 

Q8. 2024年度、2027年度の中期経営計画の達成は可能なのでしょうか。

A8. 現在の中期経営計画は、2022年5月に発表したものですが、計画策定時には半導体市場の低迷などは想定できていませんでした。現在では事業環境が大きく変わっていますので、中期経営計画の一定の見直しは必要と考えています。

 

Q9. 半導体材料の回復時期はどのように見ていますか。

A9. 2022年度下期から調整局面に入り、現在緩やかに回復しており、2024年度の後半には本格的に回復するのではないかと見ています。

 

Q10. 昨年12月15日発表の自己株式取得の背景は何でしょうか。

A10. 取得額、時期を柔軟に考えて実施しました。これにより、総還元性向が85%となる見込みですが、中期経営計画における目標である総還元性向の目標75%というのは変えていません。

 

Q11. ROEを従前から最重要の経営指標にしているということですが、いつごろ、どのようなお考えから社内でご決定されたのでしょうか。

A11. 当社は、コンパクトで収益性の高いニッチな成長分野に集中的に投資をするという方針を進めてきました。その意味では、ROEは収益性や使う資本の効率性が内外ともに分かりやすい指標であると考え、2000年代初めからROEを1つの重要な経営指標と位置付けています。日本においては2010年代半ばからコーポレートガバナンスコードが徐々に広まり、ROEの合格点は8%と言われています。当社はそれ以前からROEを重要な経営指標と捉え、徐々に高めてきました。この考え方を社内にも着実に浸透させ、この指標による財務的なかじ取りが、順調な経営の大きな要因ではないかと考えています。

 

Q12. 化学品セグメントの今後の見通しについて教えてください。

A12.化学品セグメントは、中国の安値品攻勢により、当社製品の売り上げは落ちています。この中国の安値品攻勢という外部環境は当面変化はないと見ており、製造プロセスの見直し、コスト削減を推進していく考えです。

 

Q13. 液晶ディスプレイの材料で高いシェアの製品をご説明いただきましたが、液晶ディスプレイ市場自体の将来性、成長性はいかがでしょうか。

A13.ディスプレイには液晶ディスプレイと有機ELディスプレイの2種類があります。現在スマートフォンには有機ELディスプレイが多く使われています。有機ELディスプレイは当社の液晶配向膜を必要としていません。そのため有機ELディスプレイの各アプリケーションでの浸透度が非常に重要になります。第三者機関の調査では、基本的に有機ELディスプレイはスマートフォンのみにとどまると見ています。テレビ、パソコン、タブレットなどには引き続き液晶ディスプレイ、当社の「サンエバー」配向膜を使用した分野が残ると見られています。その要因は、液晶ディスプレイには価格面、耐久性、消費電力などで優位性があるという点です。

       その中でもより高精細で、より画面のきれいなパソコンやタブレットを求める消費者が増えているため、当社が高いシェアを有する光配向製品の売り上げの増加も見込め、将来的に液晶関係の伸びは期待できると考えています。

 

Q14. 「ARC®」は、露光がEUVになることで需要は減るのでしょうか。また、EUV向けの材料は開発していますか。

A14. 当社にとってEUVは課題でもありチャンスでもあります。EUVの光は波長が短いために基盤の上で反射はしません。つまり基盤を透過してしまうため、当社の「ARC®」は必要とされません。そこで当社は新しい製品を開発しました。それがEUV用の下層膜という製品です。EUVになるとレジストが非常に細く、倒れやすくなるので、レジストを支える層が必要になります。その層が当社の開発・販売している下層膜です。EUVを使った部材は非常にコストが高いため、半導体のごく一部である最先端のものに適用されています。残りの層は「ARC®」を使うことになりますので、当社はEUVの半導体が増えることは「ARC®」の需要も増加すると見ています。

 

Q15. 来期以降、半導体と農薬のどちらが売上・利益が伸びていく有望市場でしょうか。

A15.現在、半導体市場は回復途上にありますので、伸長率という点では、半導体のほうが伸び率が高いと考えています。

 

以上

 

 

 

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