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株式会社メディカルシステムネットワーク(4350)

開催日:2024年2月23日(金)

説明者:代表取締役副社長  田中 義寛 氏

 

1.会社概要

  • 1年ほど前にこの説明会に出席した際、当社がこれから数年かけて大きく成長していく可能性を秘めていることが、株式市場ではほとんど認知されていない現状にある旨を話しました。それから1年がたち、当時の株価が約400円前後だったところ、現在は600円前後まで回復し、およそ1.5倍となっています。株式市場全体が非常に活況になっていますが、当社の評価についても一定程度見直されたと感じています。
  • ただ、当社の実力はまだ十分に評価されていないと思っており、いかに当社が薬局業界において特異かつユニークなポジションにあるかということ、およびその中での成長戦略について本日は説明したいと思います。
  • 私は昭和44年に生まれ、現在54歳です。兵庫県の西宮市出身で、大学卒業後は現在のみずほ銀行に入社しました。幾つかの部署を経験した後に札幌へ転勤し、そこで当社の担当になったことが機会となりました。代表取締役社長の田尻はラグビーが好きで、私も大学時代にラグビーをしていた経験から意気投合し、36歳の時に当社に転職しました。以来約17年、経営企画を中心に事業提携やM&A、広報、IR、中長期的な会社戦略などの業務に携わってきました。
  • 代表取締役社長の田尻は元々、医薬品の卸を北海道で営んでいました。また、代表取締役副社長の秋野は薬剤師であり、当時は小樽で薬局を10店舗ほど経営していました。もう一人の創業者である沖中は、調剤システムを開発する会社の社長でした。この3名の社長が集まり、1999年に設立されたのが当社となります。
  • 事業内容は地域薬局事業が一つの中心であり、現在436店舗の薬局を展開しています。また、医薬品ネットワーク事業、医薬品製造販売事業、デジタルシフト事業の3つは、中堅・中小の薬局の経営を支援する事業として昨今非常に大きく伸びています。
  • 医薬品ネットワークの加盟店は9,503店舗であり、非常に多くの薬局に当社サービスをご利用いただいています。
  • 現在の売上高は1,095億で、従業員数は連結で3,705名なっています。
  • グループ理念として、「良質な医療インフラを創造し、生涯を見守る『まちのあかり』として健やかな暮らしに貢献する」ことを掲げています。「良質な医療インフラ」とは、地域の人たちに欠かすことができない機能を提供していきたいということです。
  • そして、「まちのあかり」は、特に当社が薬局として非常に大事にしている理念です。例えば、北海道の興部というオホーツク海側の町で、当時は無薬局地域だったところ、村長から「どうしても薬局を作ってほしい」との依頼があり、「なの花薬局 興部店」を作りました。人口3,500名の過疎の町において、冬の寒空の中でも「なの花薬局」があることで、地域の人たちが安心して頼りにできる存在でありたいという思いから、「まちのあかり」は当社が大事にしている理念となっています。
  • 当社の事業領域について、地域薬局事業は業界7番手として大手チェーンの一角となっています。また、医薬品ネットワーク事業も当社の中心事業となります。医薬品製造販売事業は、ジェネリック医薬品を中心に製造販売を行っており、現在は104品目を製造しています。デジタルシフト事業は、開始してまだ約3年ですが非常に大きく伸びている事業であり、LINEを用いて薬局と患者をつなぎ、かかりつけを支援しています。
  • 医薬品ネットワーク事業、医薬品製造販売事業、デジタルシフト事業は、「薬局支援3事業」として中堅・中小のお客さまの経営を支援しており、当社はこれらの事業を大きく伸ばしていきたいと考えています。
  • 次に、当社が目指す姿と、どのように社会に貢献していくかについて説明します。まず一つは、当社の直営である「なの花薬局」が、地域住民および患者に対して質の高い薬学ケアを行うことに加えて、未病、予防、および今後需要が増える在宅にもしっかり対応していくことを目指しています。そして、医薬品ネットワーク事業を通じて、中小薬局の経営を支援していきます。
  • 医薬品ネットワーク事業は、医薬品卸会社のコスト削減や効率化にも貢献することが大きな特徴となっています。当社は医薬品卸会社の流通も貴重な医療インフラだと考えており、これを守って効率化すること、持続可能にしていくことを一つの大きな柱としています。
  • 当社直営の「なの花薬局」だけでなく、中堅・中小の薬局の経営を支援することで、加盟薬局にも「まちのあかりに」なってもらうことが当社の社会的な使命となります。
  • 次に、当社の沿革についてです。1999年に医薬品ネットワーク事業から開始し、そこから2年半でナスダック・ジャパン市場に上場して、地域薬局事業も開始しました。この時に医薬品ネットワーク事業と地域薬局事業という2つの形ができましたが、当時は北海道内のみで事業を展開していました。
  • 転機となったのは2005年で、関東および関西の薬局グループをM&Aでグループ化し、本州への展開を開始しました。その後2013年には、当時のJASDAQ市場に上場していた、九州で薬局を展開する企業を子会社化し、九州に展開を広げました。
  • 地域薬局事業では、基本的にM&Aで子会社化した後、新規出店を拡大していくことで全国展開を図ってきました。一方で、医薬品ネットワーク事業は1店舗ずつ地道に加盟店を拡大してきました。そして、2016年には医薬品製造販売事業、2020年にはデジタルシフト事業を開始し、薬局支援3事業が揃った形となります。
  • 当社は薬局チェーンとして捉えられる傾向にありますが、他の薬局チェーンとは全く異なる事業展開を行っており、現在は利益の半分以上が薬局支援3事業から上がっています。
  • 過去10年の業績の推移を見ると、売上高は右肩上がりで少しずつ伸びていますが、利益は少し凹凸があります。これは、国による2年に1回の調剤報酬改定の影響を受けているためです。
  • 特に2018年4月の改定が非常に厳しかったことから、2019年3月期および2020年3月期の利益が下がっています。しかし、その後の2021年3月にはV字回復しています。この期は新型コロナウイルス感染症の影響で、受診抑制によって処方箋が9%も減りましたが、これにしっかりと対応することができ、V字回復を果たしています。翌年の2022年には最高益を更新しましたが、報酬改定は偶数年に行われるため、その影響で2023年3月期は少し減益となっています。
  • 今期については、売上高1,138億円、営業利益35億円を計画しています。第3四半期終了時点では非常に順調であり、予算を大きく超過して推移している状況です。そのため、営業利益35億円を上回ることを見込んでいます。
  • また、医薬品ネットワーク事業は過去10年で約9倍に大きく伸びています。仕入れもこの9ヶ月で4,650億円となり、業界で圧倒的に大きなグループとなっています。

 

2.業界環境

  • 薬局業界の環境として、院外薬局の処方箋受取率は75.3%となっています。諸外国では強制分業によって100%となっている国も多いですが、日本の場合は選択制として、院内で薬を出す医療機関もあります。医薬分業は平成に入って大きく伸びましたが、約80%が上限と言われており、頭打ちの状況になっています。
  • また、処方箋の発行枚数は令和2年に大きく減少しています。これは新型コロナウイルス感染症による受診抑制が大きく影響しており、令和3年と令和4年で少しずつ戻ってきている状況です。
  • 薬局の数は令和3年度で6万1,791件となっており、コンビニの5万8,000件よりも多くなっています。薬局が多いイメージはあまりないかもしれませんが、実はこれだけの数があります。
  • ただ、「コンビニよりも多いが、きちんと機能を果たしているのか」と批判されることがよくあります。その批判が非常に盛り上がったのが2015年で、「薬局は必要ない」「医薬分業は必要ない」という議論まで出ました。その際に、薬局が目指すべき姿として厚生労働省が発表したのが「患者のための薬局ビジョン」です。
  • 「患者のための薬局ビジョン」では、薬局は処方箋によって薬を出すのみでなく、健康サポートの機能や、かかりつけ薬剤師・薬局としての機能を果たしていくことが掲げられました。これは医薬分業の本来の目的となります。
  • 各病院が薬を出すと、重複投与や多剤投与、場合によっては副作用や相互作用が起こる可能性があります。それを薬局と薬剤師の一元管理によって防ぐことが本来の役割であるため、それを十分に果たすことが求められました。
  • さらには、24時間対応や在宅への対応に加え、これから入退院を繰り返す患者が増える中で、薬の情報を医療機関と連携することも求められています。
  • なるべく薬の業務をITの活用で効率化し、患者と十分に向き合うこととして、薬中心の「対物業務」から、患者中心の「対人業務」に移行することが求められており、このビジョンに基づいて以降の調剤報酬も改定されました。
  • ビジョンの発表から9年がたち、薬局は当時と比較すると変わってはいますが、まだ道半ばであり、国が求める水準まで到底及んでいない現状となっています。
  • 次に、薬局の市場規模の推移についてです。直近の調剤医療費は、薬剤料が約5.7兆円、技術料が2兆円であり、市場規模は合計7.7兆円となっています。
  • 薬剤料は、令和3年から毎年マイナス改定が行われています。技術料についても、調剤報酬改定が厳しくなっています。医療費全体は高齢化の進展によって右肩上がりで伸びていますが、調剤については、この5〜6年でほぼ横ばいとなっています。
  • 薬局市場は、全体で見ると非常に細分化されており、巨大なプレーヤーがいない市場と言えます。最大手のアインHDも4.4%のシェアとなっており、7番手の当社は1.3%しかありません。上位8社の合計でも17%であり、ドラッグストアと比較しても中小零細事業者が多い点が特徴です。
  • 今後急速に薬局の集約が進むとされた時期も以前にありましたが、現在は緩やかにしか集約が進まないと言われています。一つの大きな理由としては、国の調剤報酬の方針が大手に厳しい改定となっているため、M&Aがデメリットとなることが挙げられます。また、薬価は公定価格で決まっているため、普通の小売店のように安く仕入れて安く売り、顧客を集めて規模を大きくするというサイクルが薬局業界では働きにくくなっています。この2つの理由で集約が進まない現状になっていると認識しています。
  • 薬局業界の環境をまとめると、高齢化の進展によって医療費が増える一方で、薬価改定と調剤報酬改定のいずれも厳しいため、約8兆円の市場規模で頭打ちとなります。また、かかりつけ薬局としての対人業務の充実、重複投与や副作用の発見と是正など、専門性を発揮することが薬局の質の改善として求められています。
  • 国も積極的にDXを推進しており、コロナ禍によって、オンラインでの診療や服薬指導といった医療DXが大きく進みました。電子処方箋も2023年1月に開始され、2024年の秋にはマイナ保険証に統一される予定であり、薬局業界でもいよいよDXが推進されることになります。
  • 従来は病院クリニックに最も近い薬局が繁盛し、患者は何も考えずに近くの薬局に行っていましたが、その状況が今後変わります。患者が薬局を選ぶ時代になるため、早く調剤するだけの薬局は先がなく、きちんと地域に貢献できる薬局に大きなチャンスがやってきたと言えます。

 

3.地域薬局ネットワーク事業@ 地域薬局事業

  • このような事業環境の中で、当社がどのように成長していくのかについて説明したいと思います。
  • まずは地域薬局事業についてです。地域薬局436店舗の内訳として、当社は北海道から事業を開始したことから、北海道の店舗数が最も多くなっています。現在は東北、関東、東海、中国、四国、近畿、九州まで出店しています。
  • 店舗形態は地域密着型と医療モール型といった住宅立地の薬局が多くなっています。大手チェーンの薬局では、大病院の前に大きな薬局を作る大型門前型が多いですが、当社での比率は小さくなっています。
  • 今後は医療モール型をさらに増やしたいと考えており、基本的に新規出店は全て医療モール型となっています。例えば、スーパーの2階などでワンフロアを借り切って複数のクリニックを誘致し、そこに当社の薬局を作るパターンを展開しています。現在、医療モール型の比率は約25%であり、4年後には約4割にすることを計画しています。
  • 薬局の質に関しては、国から求められている「かかりつけ」をしっかり行うこと、および未病と予防に取り組むことに向けて、約30名の管理栄養士をグループに抱えています。栄養相談や健康フェアも積極的に行っています。
  • また、現在需要が非常に増えている在宅訪問にも注力しています。がん患者が特に増えていることから、がんの疼痛管理や副作用のコントロールにおける薬剤師の在宅訪問のニーズが非常に高く、社会的な意義もあります。
  • さらに、投薬の場だけでなく、患者がきちんと薬を服用できているか、薬の効果が出ているかについて、電話やLINEによる服薬期間中のフォローを行っています。フォローは無料で実施しており、現在は月に約3万件で、業界トップクラスの数字となっています。
  • 服薬期間中のフォローによって、薬が飲めていなかった、勝手に半分に減らしていた、薬の効果が出ていない、副作用が出ているといった、投薬の場だけでは分からなかった事象を発見することができます。このような場合は、すぐに処方元の医師に連絡し、処方を変更してもらう形で役立っています。
  • フォローの実施に当たっては教育が重要になるため、社内教育も一昨年に刷新し、各薬剤師が勉強に励んでいます。

 

4.地域薬局ネットワーク事業A 薬局支援3事業

  • 次に、これから大きく伸ばしていきたいと考える薬局支援3事業について説明します。
  • まず、薬局支援3事業の中心となる医薬品ネットワーク事業についてです。卸および薬局ともに、ネットワーク加盟前は流通の部分に課題を抱えていました。卸では、薬局からの緊急配送の電話、薬の返品、電話やFAXでの異なる発注方法が大きな負担となります。一方で薬局は、毎年薬価が変わるため、数千品目にわたる医薬品の仕入れ価格交渉が大変であり、在庫管理や発注といった対物業務も非常に負担になります。それらの悩みを、当社が間に入って全て解決していく事業となります。
  • 医薬品ネットワークでは、薬局に在庫管理システムを導入しています。最初の導入は大変ですが、一度システムが入ると過去の履歴に基づいた自動発注が可能になります。卸から見ても、電話やFAXの発注がオンラインになることで、1日1〜2回の定期配送で済むようになり、流通が大幅に改善されます。
  • そして当社は、卸においてコストが削減された部分を仕入れ価格に反映してほしいとの価格交渉を行っています。9,500店舗の共同購入によるバイイングパワーではなく、卸のコスト削減を反映する形で交渉している点が最大のポイントとなります。
  • そのため医薬品ネットワークは、卸から見るとコスト削減になり、薬局から見ると対物業務の効率化および仕入れ価格の減少となります。当社は薬局から一定のサービス料を収受する形のため、三者win-winのビジネスモデルとなっています。
  • 薬局の経営環境も非常に厳しいことから、医薬品ネットワークの加盟店は急速に増加しています。現在は9,500店舗で、47都道府県の全てに広まっています。私が入社した2006年時点では年間で100件増えるかどうかという状況でしたが、2018年から急速に伸び始め、現在は月100件のペースで増加しています。
  • 9,500店舗という数字は、およそ6万件ある薬局の約15%のシェアとなります。業界最大手のアインHDは1,200店舗のため、加盟店9,500店舗がどれほどの規模かを理解いただけると思います。また、当社は全国40数社の医薬品卸と取引していますが、ほとんどの卸にとって当社が最も大きな得意先となっています。
  • 次に、医薬品製造販売事業についてです。この事業では、東証プライム上場のダイト株式会社と合弁で、株式会社フェルゼンファーマを設立しています。実際の製造はダイト株式会社を中心とした既存のジェネリックメーカーが行い、それを当社のパッケージで直営薬局や加盟店に販売する、PB商品のようなビジネスモデルとなっています。
  • 特徴としては、設備投資の負担がないこと、および川下の薬局を抑えているため、メーカーは無駄のないロット生産を行えること、そして、既に取引のある薬局へ販売するため営業費用をかける必要がないことが挙げられます。
  • 物流は広域卸を通さず、宅急便で配送しています。川上から川下まで極小コストで回し、その分を薬局や加盟店にメリットある形で届けることができるビジネスモデルです。
  • 現在、自社ブランドの後発医薬品は約4,400店舗で使用されており、今後さらに増やしていきたいと考えています。
  • 次に、デジタルシフト事業についてです。まだ開始して3年半ほどの事業ですが、現在の導入店舗数は約4,400店舗まで大きく増えています。この事業では、LINEを用いて処方箋の送信や問診票の入力ができるツールを開発し、販売しています。
  • また、健康・お薬相談、オンライン服薬指導、お薬手帳の機能もあります。例えば災害時にお薬手帳がないと、どの薬を飲んでいたか分からない場合がありますが、このツールによって、スマートフォンを持っていれば薬の履歴を全て把握できるようになっています。
  • これらの機能の利用に当たっては、患者から利用料を取るのではなく、薬局から月額7,000円〜1万2,000円の利用料を収受しています。加盟店や、加盟店以外のチェーン薬局を中心に導入が非常に進んでいます。
  • また、もう一つ特徴として、実際に多くの患者にツールを利用いただいており、LINEの友だち登録は100万人を突破しました。他の薬局を見ても、実際にこれだけ多くの方に利用されているところは他にありません。LINEの活用によって別途アプリを入れる必要がなく、非常に使いやすくなっています。
  • その他、サ高住の事業も展開していますが、本日は時間の関係で説明を割愛します。

 

5.中期経営計画

  • 当社の成長戦略として、2022年5月に4年間の中期計画を策定しています。今期はその折り返し地点となりますが、当初の想定どおり非常に順調な進捗となっています。
  • 当社の成長モデルとして、元は医薬品ネットワーク事業と地域薬局事業を展開していたところから、医薬品製造販売事業とデジタルシフト事業を加えた3階層のモデルに拡大していきたいと考えています。
  • 3階層の1階部分が当社の基盤となる地域薬局事業です。これについては、事業自体を大きく広げるよりも、質の高い薬局を作っていくことを基本としています。そして、2階部分の医薬品ネットワーク事業を大きく横に広げていきたいと考えています。
  • さらに、1階と2階をプラットフォームにして、3階部分で後発品事業およびデジタルシフト事業を上に広げていきたいと思っています。このように、2階を横に広げ、3階で上に広げていくという多層的な拡大を中期計画の大きな柱としています。
  • 売上および利益についても、従来は地域薬局事業が大きかったですが、薬局支援3事業の比率を高めて収益構造を転換し、4年後に薬局支援3事業を大きな柱にすることを計画しています。2022年3月期の営業利益38億円を、2026年3月期には約1.7倍の65億円にし、4年間で27億円の増益を達成するという、非常にチャレンジングな目標となっています。
  • 目標の実現に向けて、地域薬局事業においては規模を拡大するのでなく、手堅く確実に事業を進め、「まちのあかり」を体現する質の高い薬局を作っていきます。出店は新規出店を中心に、医療モール型の体制を整えていきます。今期は15店舗の出店ですが、来期は20店舗を超える見込みであり、年間25店舗のペースに近付いています。
  • 医薬品ネットワーク事業においては、業界シェア20%となる1万2,000件の加盟を目指します。現在の加盟件数は約9,600件となっており、順調なペースで推移しています。
  • 薬局数6万件のうち、上位2万件はチェーン、下位1万件は今後淘汰(とうた)される可能性があることから、当社は中間の約3万件をターゲットにしています。そして、その中の1万2,000件の加盟は十分に達成できると考えています。
  • また、医薬品ネットワーク事業は5億円から7億円の増益を達成しています。1,000件の加盟増加ごとに約5億円から6億円の増益となるため、4年間で20億円以上の増益を医薬品ネットワーク事業のみで達成できることになります。
  • そして、もう一つ当社が大きく伸ばしたいと考えているのが、医薬品製造販売事業です。前期は26億円だった売り上げを、2026年3月期までの2年間で100億円に大きく伸ばすという非常にチャレンジングな計画となっています。
  • 当社の加盟店が使用しているジェネリック医薬品は約880億円であり、そのうち3分の1の約200億円を当社グループのフェルゼンファーマがカバーしています。そのため、全加盟店が当社製品に切り替えれば、200億円の売上を明日にでも作ることが可能です。
  • ただ、実際に取引しているのは加盟店の約2割であり、当社製品を使用している薬局においても切り替え率は2割程度です。その点は課題として認識しています。
  • 加盟店を横に拡大するとともに、当社がカバーするフェルゼン品の新規収載も今後さらに増やしていくことで、売上高100億円をぜひ達成したいと思っています。
  • このように、2026年3月期における27億円の増益は、医薬品ネットワーク事業と医薬品製造販売事業を中心に十分に達成できると考えています。
  • 本日のまとめとして、薬局業界自体が大きな変革の時代に入っており、かかりつけとして質の改善が強く求められています。一方で、薬局の集約は進みづらく、当社のネットワークはなくならないと考えています。
  • 当社は、地域薬局事業を手堅く展開し、DXをうまく活用しながら質の高い薬局づくりを進めていきます。そして、薬局支援3事業を大きく伸ばしていきます。
  • 当社は直営薬局で「まちのあかり」の理念を掲げていますが、加盟薬局を支援することで、加盟薬局にも「まちのあかり」になってもらえれば、全国を明るく照らして地域の人たちに貢献できると確信しています。当社の使命はそこにあり、当社にしかできない役割であると認識しています。

 

6.2024年3月期第3四半期実績、2024年3月期業績予想、配当

  • 直近の業績は、第3四半期の終了時点で非常に順調です。営業利益は30億6,900万円となっており、通期予想の35億円を確実に達成できる見込みです。
  • 四半期ごとに見ると、2023年の第4四半期では8億1,900万円の営業利益が出ているため、前期並みの利益を出せれば、今期は39億円前後になる見込みです。そのため、35億円の通期予想は十分に達成可能だと考えています。
  • 配当については、当初、今期の業績が厳しいことを想定していたため、中間5円および期末5円として減配していました。しかし、第2四半期のタイミングで非常に好調だったため、中間6円および期末6円の計12円に戻しています。
  • 配当性向は約21%となっています。業界平均から見れば少ないと思いますが、当社が今後成長していくための投資も必要なため、将来の成長性に期待してもらえればと考えています。
  • また、2024年4月に調剤報酬改定が行われます。今期は、薬価が例年通り下がりますが、報酬は賃上げによってプラスとなり、例年のような大きいインパクトがありません。賃上げを行う原資も十分であり、頑張ればプラスにできると考えています。
  • これから中計の後半期に入るため、目標の達成に向けて頑張りたいと思います。ぜひ中期的な成長を期待していただければと思います。

 

7.質疑応答

Q1. 営業利益率が3%を下回っていますが、収益性改善のためにどのような取り組みを行っていますか。

A1. 営業利益率が他の調剤企業と比較して低い点は当社も認識しています。収益性改善に向けて、一つは服薬期間中のフォローなど、今後求められる質の改善にしっかりと取り組んでいきます。厳しいコスト削減は実施せず、まずは患者にかかりつけとして認知してもらうことを優先したいと思っています。当社としては、医薬品ネットワーク事業やフェルゼンファーマでの後発医薬品事業など、利益率の高い事業の比率を高めることで全体の利益率を改善していきたいと考えています。

 

Q2. 利益が伸びていない要因について教えてください。

A2. やはり2年に一度の報酬改定の影響が大きいと考えています。そのため、今後は医薬品ネットワーク事業および医薬品製造販売事業の比率を高めていくことで、全体の利益を安定させ、利益率を上げたいと思います。

 

Q3. 医薬品ネットワークの拡大が進捗した場合、どのような新しい取り組みが実施できるようになりますか。

A3. 医薬品ネットワークの拡大をプラットフォームとして、新たな事業を載せたいと考えています。3階層の成長モデルにおいて、現在は後発医薬品およびDXの事業が3階部分となりますが、これら以外の新事業をさらに展開していきたいと思っています。 当社のような、1万のプラットフォームを持つ会社は非常に魅力的に感じられており、実際にさまざまな事業を行う企業からも、一緒に取り組みたいとの話が来ています。そのような企業と組みながら、まずは直営店舗でブラッシュアップした後、加盟店に広げていきたいと考えています。LINEの事業も、まずは直営店舗に導入してから加盟店に展開しました。また、フェルゼンファーマについても、直営店舗の薬剤師の意見を採用し、パッケージの変更等を実施しています。特にDXなどの効率化に寄与するものが多く出てきているため、中小の薬局にも伝えていければと思っています。

 

Q4. 2年に1回の薬価改定は、現在どのような傾向にありますか。それは御社の業績に追い風なのでしょうか。また、向かい風の場合はどのように対策しますか。

A4. 薬価改定はマイナスが続き、薬価が引き下がっています。薬価を母数にすると、およそ5〜6%が2年に一度下がっています。令和3年からは毎年改定となり、毎年薬価が下がっています。これによって薬局での売り値が下がることから、当社の経営には明らかにマイナスの影響となります。 ただ、一品ごとの薬価は下がるものの、高齢化の進展によって使用される薬の数が増加しており、実は処方箋1枚当たりの薬剤料は下がっていません。薬価改定の4月に一度下がりますが、1年かけて徐々に上昇し、薬剤料単価で見ると1年後に元に戻る形が一般的となっています。 国による薬価改定のため、薬局の場合は技術料で対策するしかなく、質を上げることで技術料をしっかり取っていきたいと思います。

 

Q5. さまざまな事業を展開しているため、専門知識を持つ人材が要求されると思いますが、人材育成はどのようにしていますか。

A5. 薬剤師や事務スタッフだけではカバーできない部分があるため、金融機関出身の方などを中途採用しています。また、大学のMBA講座を社内で展開し、毎週3時間ファイナンスや市場について半年間勉強する試みを実施しました。約20人の募集に対して受講者は満員となり、非常に積極的に学習していました。講座の最後では新事業プランの考案にも取り組んでおり、今後も継続したいと考えています。それ以外にも、次世代経営塾という形で、さまざまなことを学ぶ取り組みも行っています。 また、薬剤師としての専門性も非常に大事なため、「CP Step」という教育制度を開始しました。薬剤師の対人業務や専門性の発揮、資格取得および研究について、毎年ポイント制で評価しています。ステップが上がった分、給与も増える形です。あまり他社では見られない制度だと思いますが、当社ではこのように専門性の強化も行っています。

 

以上

 

 

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